推しは推せる時に推せるだけ推せ!~推しバンドからメンバーが脱退するよ編~
やつしろですこんにちは。
こちらは #ぽっぽアドベント の4日目の投稿です。はとさんありがとう!
変わった/変わらなかったこと Advent Calendar 2020 - Adventar
変わった/変わらなかったこと2 Advent Calendar 2020 - Adventar
私が参加しているのは3つ目でございます。
えーとですね、本来であれば予告通り、在宅勤務の話をするつもりでした。私は2月末に在宅勤務になって以来一度もオフィスに出ていないので、変わらない景色のことや、それでも変わった生活のあれこれを書こうと、ちまちまメモを書き貯めていました。
しかしお当番日まであと1日半に迫った12月2日夜、長年の推し*1からアレが来てしまったのです。全てのオタクを震え上がらせるアレが。
やだーーーーーーーーーーー!!
メンバー脱退ですってよ。
やだーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!
しかしこれを見た瞬間、これ以上ぽっぽアドベントのテーマに合うトピックはあるだろうか、いやない(反語)と思ってしまったので、ため込んでいた下書きを全部破棄してこのことを書くことにしました。間に合って良かった。というか、どこかに書かないとちょっと身が持たない……心も……ということで大変恐縮ですが、しばし私のグリーフ・セラピーにお付き合いください。
まず推しの話をします。これはMUCC(ムック)というビジュアル系バンドで、今年結成23年という、中堅と言うにはいささか年月を重ねた中堅バンドです*2
メンバーは4人。全員同い年の41歳で、全員茨城県出身。ボーカルとドラムが高校の同級生で、ギターとベースが小学校からの幼馴染み。18歳の時に出会ってそこから23年間、メンバーチェンジも活休もなく走り続けてきたバンドです。これまでに武道館公演も何度かやり、海外ツアーも定期的にこなし、おっきな海外フェスに呼ばれたりなんかもした、まぁ人気ではないけど界隈では実力が認められてるみたいな立ち位置です。ちなみに私の推しはボーカルです。最近筋トレ始めてシュッとしたんですよやったね。
一方の私は、17歳の時にこのバンドに出会いました。実は今日誕生日なんですけど、めでたく35歳になりまして、人生の半分以上このバンドを追いかけてることになります。今までに200回くらいMUCCのライブに行きました。ほぼすべての都道府県を回り、欧州とアジアの公演にも行きました。輝かしき10代後半もがむしゃらの20代も、そして全く落ち着いてない30代前半も、ずーっとずーっとMUCCが一緒でした。
勝手に一緒に年を取ってる気分で、これからもそうなんだと思ってた。メンバーもムックという名前にちなんで69歳までライブやりたいねなんて話をしていて、ファンの友人たちとそれまで体力維持しようねって励ましあってた。そんな推しバンドからこの度、ドラマーのSATOちが抜けることになりました。さとちです。大相撲の高安関のいとこです。
文字通り、世界が変わってしまいました。
お知らせには直接の脱退理由は書いてないんですけど*3、これだけ長い間追いかけてると色々と分かることもありまして、まず最初に思ったのは「これ半分はコロナのせいなんだな」ってことでした。
MUCCはこれまで3ヶ月以上、活動を止めたことがありません。去年の総ライブ数は80回以上で、過去にはそれより多い年もありました。今年も年明けから2月までツアーがあって、4月には欧州ツアーがあって、5月にアルバムが出て、6月には初のアリーナ公演が決まってて、夏には怒涛のレコ発ツアーがあるはずでした。
それが、パンデミックのせいで欧州ツアー以降のライブの予定が全て飛びました。くだんの「大切なお知らせ」には、さとちがメンバーに脱退の意向を伝えたのは5月だったと書いてあります。ちょうど色んなものがバタバタと中止になっていった時期です。それから定期的に配信ライブなどをやっていたものの、23年目にして急に車輪が止まったらどうなるか。きっと、今まで考えなかったことを色々考えちゃったんだろうな。
バンドからメンバーが抜けるって大変なことです。MUCCは全員が作詞作曲をするので、乱暴な言い方をすればMUCCの音楽性が25%減ることになります。暗くて攻撃的な曲調が特徴とされるこのバンドで、さとちは昔から明るくて優しくて光がいっぱいの曲を作っていました。ライブで彼の曲が演奏されるとみんな一気に顔が明るくなって、お客さんも笑ったり嬉し泣きしたりしながらノるんです。照明も一番明るくなって、メンバーからも私たちの顔が全部見えて、みんなで一緒に盛り上がる。音楽で一つになるってこういうことだなーと実感できるような曲ばかりです。いくつか貼るのでぜひ聞いてみてください。
いやマジ名曲ぞろいだな。泣けてきた。
でもこれから先、MUCCからこんな曲はもう生まれない。それどころか、さとちが残していく曲も永遠に変わってしまうんです。MUCCが23年間あらゆる曲の基礎にしてきたドラムがもう鳴らない。彼は脱退と同時に音楽活動も引退するそうなので、ン年後に再結成!とか一夜限りの!みたいなものも望めません。私が18年間聞いてきた音はもう永遠に失われてしまうんです。そしてこれから先ライブに行くたび、MUCCの曲を聞くたびにそれを何度でも突きつけられることになる。地獄かよ。
幸か不幸か、MUCCは年末に武道館公演を控えています。5000人しか入れないソーシャルディスタンシング武道館です。もちろん声出しはNGで、モッシュもダイブもできない。でもこれがさとちの最後のステージになるかもしれない*4。そうじゃないとしても、このコロナ禍ではライブハウスを満員になんてできないので、彼の曲でお客さんが汗だくになりながら、笑顔と歓声ではち切れそうになってるところはもう見せてあげられないんです。それどころか名前を呼ぶこともできない。
いっそ解散してくれた方が致命傷1回で済むのにと思うけれど、それでも彼は脱退すると決めて、残りのメンバーはこのバンドを続けると決めた。それがMUCCや自分にどういう影響をもたらすのか、今の私には想像もつきません。コレジャナイって愛想を尽かしてしまうかもしれないし、その前にバンドが空中分解するかもしれない。あるいは全くそんなことにはならず、何年経っても相変わらずライブに行ってるかもしれない。こんなに先のことが分からない時代に、長年支えにしてきた推しにまでグラグラされるとホントどうすれば良いか分かりませんね。端的に言ってつらい。
いやーーしかしコロナ。コロナよ。病気そのものもだけど、もっと音楽をはじめとする文化への支援がちゃんとしてればとか、国の感染症対策が万全ならライブも再開できたかもとか思うと、あらゆることが積み重なってこの結果を引き起こしたんだろうな……と、暗澹たる気持ちになります。もちろんバンド内で色んなことがあって、たくさん話し合った上での結論なんですけど、それだってせめて最高の景色と笑顔で送り出してあげたかった。それができないのは完全にコロナのせいなので本当にしんどい。
ただひとつだけ、私の中で救いというか光明になっているのは、去年7月から今年2月までやっていたツアーをほぼ全通したことです。フォロワーの皆さんは私が狂ったように飛び回ってた姿をご存じだと思いますが、8ヶ月で50本以上行ったんですよ。この狂ったスケジュールを見てほしい。
今年の3月以降が空っぽなのがマジしんどい。
でもこのおかげで今めちゃくちゃ悲嘆に暮れている一方で、やれることはやりきったという妙な達成感を覚えています。悲しいけれど悔いはないし、素敵な思い出をたくさんもらいました。旅立つ彼にとっても残るメンバーにとっても、4人での最後のツアー(かもしれない)が良い景色、良い思い出になってくれているといいなぁと心の底から思います。
だから皆さんもどうか、推しのことは推せる時に推せるだけ推してください。それが万一の時、オタクが救われる唯一の道だと痛感しています。
はーーちょっとすっきりした!長々とお付き合いいただきありがとうございました!
明日はくろすさん、しーなさん、松村生活(魔人)さんがご担当です。
*1:ところでこの投稿では冒頭から「推し」という言葉を多用しまくっていますが、個人的に好きな言葉なんです。「ひいき」よりも対等で、妙な信仰心も感じられない、程よくmy favouriteな感じが出ている気がするんですね。もちろんこれは私の感性なので、合わないなーという方は適宜別のmy favouriteな日本語を当てはめてお読みください。
*2:なぜならまだ上が残っているから。
*3:12月5日発売の「音楽と人」にさとちの単独インタビューが掲載されて、それを読むと経緯はわかります。読んだけどさらに心がしんどくなった。
*4:実際には2021年春に脱退とあるので来年何かあるかもしれないけど、たぶん武道館で発表されるんだと思います。